2000/05/12
Weekend Theater ID:201
おはよ~。
梅雨のような雨降りです。
いかが御過ごしでしょうか。
さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
今週はちょっと長めの
訳本風。
お楽しみください。
彼、フィリップ・マーレイがここに
投資専門の顧問事務所を構えて、かれこれ12年になる。
(さしたる冒険もなしにここまで来たが、
俺もそろそろ勝負の時と言うことか・・・。)
ソファの背もたれに深くもたれ、
フィリップは腕を組み目を閉じたまま深く深呼吸をした。
CIAのIDを見せた、エドワード・オグマと名乗るアジア系のその男は、
テーブルを挟んだ正面のソファに斜めに浅く腰をかけ、
テーブルに置いた大きな茶封筒を左手でたたきながら
落ち着きの無い声で説明をしていた。
「良いですかマーレイさん、ワシントンの農務省が
穀倉地帯の軍事衛星写真でその年の作柄を占い、
その発表がマーケットを左右する事はご存知でしょう。
全ての投資家が欲しがるその衛星写真が
ここにあると言っているんです。しかもたったの20万ドルでね。
私には借金が返せるだけの大金だがね。」
エドワードはせわしなく額ににじんだ汗をふいた。
確かにそうだ。これで今年のとうもろこしの相場が決まる。
発表前に判っていればとんでもない金額が稼げるだろう。
20万ドルは安い。
「よかろう!」
かっと目を見開いたフィリップは懐から小切手を取り出し、
急かされたように金額を書き込むとサインもそこそこに彼に手渡した。
エドワードはポケットにしまいもせず風のように事務所を出て行った。
・・・・
市場が開くと全財産をつぎこみ、とうもろこしを買って買って買いまくった。
農務省の発表まで1時間。いくら買えるかが儲けの大きさになるはずだ。
なにしろ発表は「凶作」になるはずだから・・・。
しかし農務省の発表はまったく逆だった。
「豊作」
彼はふるえる手で衛星写真を良く見なおした。
「ああ!こりゃエセ写真だ!」
※実在の人物、団体、事件、商品とは関係ありません。