1997/03/21
Weekend Theater ID:36
お待ちかね、一服の清涼剤。
ご存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみください。
第15回
「侵入」
サー・オッペンハイマー夫妻が帰国した。
涼子にまた少し、平安の日々が戻ってきた。
昨日の春分の日は、久々にのんびりできた。
しかし、現実はハードボイルドのようだ。
涼子のコンピューターが、
「ハッカー」の侵入を示す
警告画面に変わった。
「社長!何者かが我が社のサーバーに
ハッキングをかけています!」
折しもサー・オッペンハイマーと
微妙な契約が成立したばかりの時期だ。
社長の判断は迅速だった。
「相手の特定は後だ!すぐに撃退しろ。」
ハッキングをかけられた場合、警察の逆探知の様に
まず相手を特定して、ジャマーを
かけるのが常套手段なのだが、この場合は
事が重大だ。相手に偽データを手渡し、
相手のコンピューターに強烈なウィルスを
打ち込む、『Condition A』と呼ばれる作戦が
取られた。勿論この作戦の発案者は涼子だ。
この作戦には相手を特定していない為に起こる
不確定な要素があるのだが、そのスピード
と破壊力は空前絶後だった。
社長が言った。
「大丈夫。絶対うまく行く。」
社長の言う通り、涼子のコンピューターから
警告画面が消え、相手先のクラッシュを告げる
画面が華やかに表示された。
「社長。必ず勝てると思ったその自信はどこから・・・。」
涼子はいつに無く自信にあふれた社長に聞いた。
「きのうお彼岸で、先祖に挨拶したから。」
いや、こんな謙虚で宗教的な人物ではないはずだ。涼子は
社長の答えには何かあると思い、次の言葉を待った。
社長は言った。
「お彼岸だもん。ハッカーまいった(墓参った)でしょ。」
※実在の人物、団体、事件、商品とは関係ありません。