年代へJump
1997/04/04
Weekend Theater ID:38

お待ちかね、一服の清涼剤。
ご存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみください。


ハードボイルドOL
伊集院 涼子シリーズ

第16回
「知能」  

涼子は異様な熱気渦巻く、チェスの試合会場にいた。
世界チャンピオンで、天才の名を欲しいままにしている
ロシアのカスパロフ氏がそこに静かに座り、開始の合図を
待っていた。彼の前に座る相手は、1秒間に数億手読むという
IBMが制作したチェス用のスーパーコンピューター、「ディープ・ブルー」だ。
涼子は昨年の両者の対決から、その凄まじい攻防の虜になっていた。
確か昨年は6回戦い、3勝1敗2引き分けでカスパロフ氏が勝った。
前回の敗因を「柔軟性」の無さと分析したIBM陣営が、
より人間的な柔軟さを折り込んだと、今年の 「ディープ・ブルー」は 前評判が高い。
カスパロフ氏がじっと目をつぶって集中し、いよいよ試合前の緊張感が高まる中、
IBMのオペレーターがコンピューターに話しかけた。
「さあ、ディープ・ブルー、カスパロフ氏に挨拶を。」
「ディープ・ブルー」は低い合成音声で言った。
「チェーッス」





※実在の人物、団体、事件、商品とは関係ありません。
All rights reserved by NY