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1999/05/28
Weekend Theater ID:150

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知、金曜ホラー劇場。
お楽しみください。


その風采の上がらない中年の男は夕刻の込みあう書店で、
何か探し物があるような様子も無く、
ただ店内をただよっているようだった。
ややくすんだ黒ぶちの眼鏡の奥にのぞく焦点の合わない眼で、
平積みの週刊誌を立ち読みしている客達にふんわりと
眺めるような視線を送りながら、その男は他の客に押されるまま、
店の奥へと進んで行った。
突然その男の目の前にチラシを差し出し、
紺色の服を着たかわいらしい女性が何か早口で言った。
「な、なんですか・・・。」
はっと我に帰ったような態度で、男はチラシを覗き込んだ。
チラシには英会話塾の説明が出ていた。
「英語でございます。」
輝くような笑顔で女性が言うと、男は困った顔で
はき捨てるように言った。
「A4でしょ。これ。」






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