ハードボイルドOL 「伊集院 涼子」シリーズ第21回「培養」「これは・・・、何てことでしょう!」意外なほどこぎれいな実験室で、クールな涼子もさすがにうろたえた。目の前に並んでいる少し太めの試験管をドクター・リーバイスの言われるが儘、天眼鏡で覗いた涼子は 背中がじっとり汗ばむような感じがした。その試験管の中には、大きさにして3センチ位の『腎臓』が育っていた。「発育の促進方法がこれからの課題だ。ちゃんと機能する大きさに育てるのに5年も掛かってたら、移植を待っている患者が皆死に絶えてしまう。」「これを移植するんですか?」「そう。これは先天的な腎疾患の患者の遺伝子から発生させた『腎臓』だが、健康な腎臓に育っている。これを本人に移植する。」「なぜ先天的な異常が発現しないのですか?」「理由はまだわからん。だがこれで腎疾患の絶滅の可能性が出る。後は発育の時間短縮だ。そこでサー・オッペンハイマーに資金援助をお願いしている。」「しかし、心臓や膵臓でなくなぜ腎臓なんですか?」「だって患者が絶えないじゃない。よく言うでしょ。」「え?」「『むじんぞう』」 ※実在の人物、団体、事件、商品とは関係ありません。