2018/11/02
Weekend Theater ID:1169
おはよ~。
秋の文芸?特集です。
秋の夜長といいますし、
今回ちょっと・・長いです。
さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知、金曜ホラー劇場。
お楽しみください。
「世界はあなたを待っている」
第二回
西園寺登場
少し上気した面持ちで、電子商取引中堅商社
ユニバーサルのセキュリティ部門部長 戸田 明彦は、
世界のクライアント企業のゲートウエイ状況が点滅する、
大型AIディスプレイ『オクト』の前に立った。
濃い小豆色のタイトスラックスに、鴇鼠のゆったりとしたブラウス
を着た、透明感溢れる女性がその横に美しい立ち姿で寄り添った。
戸田は身に着けたインカムで話し始めた。
「おはよう、皆さん。作業を続けながら聞いてください。
こちらの女性は今日からこの部門に配属になった西園寺愛さんです。
皆さんも彼女の業績は良くご存じだと思います。しかしここでは
分析課の通信解析をまずは担当してもらうので、課長の白戸君始め皆さん、
よろしく頼みます。西園寺君、ご挨拶を。」
美しい笑みを浮かべ、愛が会釈をすると同時にオクトの警告音がけたたましく鳴った。
監視課長の大谷が立ち上がって叫んだ。
「部長!非常事態です!全世界で主要地域のISPクロッシングが攻撃対象になっています!」
「白戸君!解析・・。」
愛は部長の言葉の終わりを待たずに白戸が座るタスクテーブルのコ・オペレータ席へ
素早く座った。
「課長、私が解析します。ロック解除を!早く!」
愛の気迫に押された白戸は声が少し上ずった。
「あ、ああ・・。」
愛のオペレーションにつれてオクトが目まぐるしく表示や色を変え、
沢山のタスクウィンドウが上がった。
その速さと無駄の無さに驚き、セキュリティ部門の誰もが愛を見守った。
「よし!捕まえた!課長、位置情報を送ります。周辺のISPで最もヒエラルキーが
上位のサーバに遮断コマンドを!」
課長がコンソールを操作し始めると、すぐに警告は消え、部内からは拍手が起きた。
「ヨーロッパか。なんと、ラトビアのダウガスピルス?
この短時間に良く突き止めたな。ヨーロッパに山を張ったんだろ?
どこが糸口になった。」
愛をまぶしそうに見ながら白戸が聞いた。
「攻撃の目的は回線ダウンという幼稚なものでした。
攻撃プログラムに自分の愛称とか混ぜ込むのは、この手の幼稚な
プログラマが良くやりますわ。ですのでそれを見つけて侮辱するテキストを
ブロードキャストパケットに乗せて世界に配信してみました。
そうしたら一人だけしつこく応酬してきましたの。」
「それで欧州・・。」
※実在の人物、団体、事件、商品とは関係ありません。