2021/03/26
Weekend Theater ID:1294
さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知、金曜ホラー劇場。
お楽しみください。伝統の家業を継ぐ重圧は、
並大抵の事ではない。
藤十郎は無形文化財の陶芸技法を
継いだ14代目として、良きにつけ
悪しきにつけ話題とされる事に
さらされてきた。
日本食が世界遺産となり、
和食もまた伝統の味を持つ
老舗を継ぐ大変さを
藤十郎も理解していた。
古くから贔屓にしている
料亭の主人が亡くなり、
息子が料理長となったと聞き、
藤十郎はその料亭を訪れた。
まずは先代との違いを見たくて
コース料理を注文した。
つき出し、椀物、お造りと続き、
ほぼ先代と変わらない味と雰囲気だった。
焼き物が出た。ここから先が、一番
味に違いが出るはずだ。
焼き物は鯛の桜焼きが供された。
藤十郎は一口含み、鼻から息を抜きながら
香りと味を楽しんだ。
先代と微妙なニュアンスもよく似ていた。
藤十郎は思わず言った。
「・・よく似ている。」
そばに居た中居が微笑みながら言った。
「あらお客様、それ焼き物ですので煮てません。」
※実在の人物、団体、事件、商品とは関係ありません。