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2024/05/17
Weekend Theater ID:1458

おはよ~。

20日は小満です。
(あらゆる生命が満ち満ちていく時期)


さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知、金曜ホラー劇場。
お楽しみください。


旧家のたった一人の跡取りとして、没落寸前の家業を
若くして継いだ喜朗は、気が付くと齢五十の声を聞いていた。
周囲の勧めもあり、嫁を迎える為いくつか見合いをした。
見合い相手の一人、涼花は父親の溺愛で箱入りが過ぎ、
三十路を超えてしまっていた。さすがに父親もまずいと思い、
年齢を重ねるほど仕事一筋で初婚の喜朗が良縁と、見合を申し出た。
恋愛沙汰など全く縁のない喜朗だったが、父親の後ろに隠れるような
儚い風情の、清楚で控え目な涼花に一目ぼれした。
父親は喜び、すぐに婚礼が決まった。
嫁入りの日、喜朗に父親が丁寧に頭を下げ懇願した。
「私の不徳でなにも出来ない娘に育ててしまいました。
それでも私には最愛の娘でございます。
ふつつか者ですが、どうか大目に見てやってください。」
喜朗とて女性の扱いなど全くと言って良いほど知らないし、
自分自身、この家の家人全てが他界してしまい仕方なく、
里子に出されて母親さえ知らない自分が後を継いだ事情がある。
「ああ。」
喜朗はそう答えるのが精一杯だった。
だが涼花がこの家に来て二日目の朝、涼花は忽然と
消えてしまった。父親が恋しくなり、実家に帰って
しまったのだと喜朗は思った。
喜朗は涼花の残したレースのハンカチを手に取ると、
父親の言う通りだと思いつぶやいた。
「ふつかものだったか。」



※実在の人物、団体、事件、商品とは関係ありません。
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