CIA特務捜査官 シリーズ 「スニーキング・ジェニー」
第二回
この州ではなぜそれが名産なのか、無言で主張するような熟したオレンジ色の夕日の中に、鈍かった境界線を、暮れて行く背景にだんだんとはっきりさせながら、インビンシブル・セキュリティ社の白いビルが立ちはだかっていた。CIA特務捜査官ジェニー・オコンナーの兆戦を喜んでいるかのようにそびえているシリコン・バレーのそのハイテクビルは、いざスニークしてみると、社が主力商品として売り出しているサーバー用のセキュリティシステムを疑いたくなるほど無防備だった。(インビンシブル・セキュリティ社が売上を伸ばしているのは、売り先にハッキングして弱みを掴み、恐喝しているからだとの噂が裏付けられる情報が入った。社にハッカーを集めた部屋があるらしい。ジェニー、行って確かめてくるんだ。)局長の言葉を思いだしながら、彼女は目的の密室の、塞いである空調口に小さな穴をあけて、中を覗きこんだ。「うっ!」部屋から流れて出た空気から、予期しなかった刺激を受けた彼女はうなった。「はっかじゃん!」 ※実在の人物、団体、事件、商品とは関係ありません。