その男は、長い間の引きこもり生活に、つい最近終止符を打った。これと言ったきっかけがあったわけでは無いのだが、すでに30も半ばを過ぎ、自室でのアイドルお宅もなんとなくぱっとしなくなった彼は、意を決して渋谷へ行って見ようと、自宅近くの駅へ向かった。券売機に近づいた彼は、自分の目を疑った。自分が覚えている、券売機とは程遠い、未来都市のような機械がそこにあった。途方に暮れている彼のそばを、思わずどぎまぎしてしまうほど短いスカートをはいた、金髪の若い子がふたり、しゃべりながら通り過ぎた。「あんたもイオカードあるの?」「うん。オッケーだよ。」二人はカードを差して改札を通り過ぎた。呆然としていた彼は、ハタと何か思いつたように財布からカードを取り出した。彼は自信を持ってそのカードを改札に差しこんだ。だが、けたたましいチャイムが鳴り、ゲートが閉じてしまった。駅員がやって来て、取り出したカードを見て言った。「お客さん、テレカじゃだめだよ。 おや、これ元アイドルの・・えっと、松本…」「イヨカードだけど…。」 ※実在の人物、団体、事件、商品とは関係ありません。