1997/01/24
Weekend Theater ID:28
お待ちかね、一服の清涼剤。
ご存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみください。
ハードボイルドOL
伊集院涼子シリーズ
第10回
「意訳」
サー・オッペンハイマーは、夕食にどうしてもうまい寿司屋
に行きたいと言って社長を困らせた。
味がわかるとは思えなかったが、仕方なくちょっと有名な寿司屋に
彼を案内することになった。
「彼を連れて先に行っていてくれ。私は用事を済ませてから
そこへ行く。」
社長の言葉に一抹の不安を覚える涼子だった。
サー・オッペンハイマーは念願がかなって大喜びだった。
その寿司屋のカウンター席に陣取り熱燗に刺身をつまみながら、
板さんが次々握る寿司をショーのように楽しんでいた。
「サー、ちょっと社長に連絡してきます。」
遅い社長に業を煮やした涼子は電話を掛けに行った。
彼を一人にするのはちょっと不安だったが、
楽しんでいるようだったので涼子は席を立った。
電話が終わって席に戻ろうとすると、板さんとサー・オッペンハイマー
が大声で口論していた。口論と言っても英語と日本語なので
ちょっと異様だった。涼子が戻ると両方が同時に彼女に助けを求めた。
「涼子!このコックは頭がおかしい!“寿司”を出しておいて
食べるなというんだ!」英語でサーが言った。
「お客さん、この外人さん変ですよ。せっかく出した“寿司”、
食べないで怒るんですよ!」日本語で板さんが言った。
ピンときた涼子はサーに聞いた。
「彼は何語でなんて言いましたか?」
「He said it in English ; 『You may not eat 'Sushi'』!」
涼子は板さんに聞いた。
「あなたは何語でなんて言いました?」
「もちろん日本語で
『ゆうめいな いい すし』」
※実在の人物、団体、事件、商品とは関係ありません。