年代へJump
1997/06/06
Weekend Theater ID:47

お待ちかね、一服の清涼剤。
ご存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみください。

ハードボイルドOL
伊集院 涼子シリーズ

第20回
「皮肉」

サー・オッペンハイマーは紳士だ。
誰が何と云おうと、涼子は確信している。

涼子は社長の命を受け、
サーもオブザーバーとして出席している
朝鮮半島エネルギー機構の、
事務レベル会議を取り纏める事になったのだが、
出席者は役人がほとんどのこの会議は、
勝手な事を主張する者ばかりだった。
特に日本の役人は最悪で、涼子もうんざりしていた。
だが、サーはただ黙って笑みを浮かべながら座っていた。
涼子は、彼女の忍耐もここまでという所で、
ようやくある程度の合意を引き出した。
それまで黙っていたサーが、拍手をしながら言った。
「ブラボー。リョウコ。ニホンノミナサン
ワタシ ニホンゴ ヘタ デスガ
ヒトコト イワセテ クダサイ。
カノジョ フシギナチカラ 
アル オモイマセンカ?」
日本語で話すサーの、思惑が掴めないまま涼子は言った。
「いいえ、私、魔法は使えませんわ。」
サーは一際大きな声で言った。
「イヤ、キミハ リッパナ アホウツカイ ダ。」
露骨にいやな顔をする役人をよそに、
彼はやっぱり紳士だと、気持ちの晴れた涼子は思った。





※実在の人物、団体、事件、商品とは関係ありません。
All rights reserved by NY