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2008/01/11
Weekend Theater ID:603



おはよ~。

新春特別版。
長いだけって話もありますが・・。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知、金曜ホラー劇場。
お楽しみください。


ハードボイルドOL
伊集院 涼子シリーズ

第2部
第4回
「ゴールド・フィンガー」

涼子はワシントンD.Cにあるエクルズ・ビルを見上げていた。
FRB議長がじきじきに出迎えてくれるのは、余程珍しいらしい。
取り囲む秘書たちが何か進言するのを、議長は首を小さく横に振り
否定し続けながら、涼子には笑顔を向けた。
涼子は社長室での社長とのやり取りを思い出していた。

「涼子君、今日も美しい。」
おべっかは、安請け合いの仕事を振って来る時の常套句だ。
「実はFRB議長のMr.バーナンキは、ハーバードの同期でね。
ハッキングで困った事があるらしいから、手伝ってやってくれないか。」
ここの所、刺激的な仕事は殆どなく、平穏に日々を過ごしていたので、
珍しく涼子も安請け合いを無条件に受けてしまった。

「ここがオペレーション・ルームです。お聞きと思いますが、ここの所の金価格の異常な高騰につられて、金のオンライン取引で偽装取引が横行しています。
その中でもテロ国家に関わる取引は巧妙だがトータルで莫大な資金が動き、そのファンダメンタルズに偽造通貨が絡んでいるようなのです。
このままでは連邦準備制度そのものに危機が来かねない。
ここの全機能を使ってその取引を洗い出してくれませんか?」
涼子は安請け合いを後悔した。
(世界中で行われている取引を洗いだすですって!不可能に決まってるわ!)
そう思いながらもピカリと頭にひらめく物があった涼子は、説明もそこそこに、渡されたログインパスの一覧を引きながらコンソールに向かった。
その画面切り替えや打ち込みのスピードに釘付けになった議長が、見飽きる前に涼子はリストを打ち出した。
「これが疑われる取引とIPを頼った取引基点の所在一覧ですわ。後はスタッフを集めて細かい洗い出しを。」
議長は驚いた。
「どうやってこんなに早く割り出したのかね!」
「簡単ですわ。金取引は端数が特徴的に出ますわ。トロイオンスとグラムでの変換端数に為替の端数が絡みますから。端数と言っても、世界の1日の取引では何億ドルにもなりますからね。たぶん偽装は辻褄を合わせる為に、必ずこの端数を狙うと見たんです。ビンゴですわ。」
感動したように議長が言った。
「ゴールドメダル!危機を回避してくれた、まさに君にふさわしい。
ところで涼子君、なぜ勝者にはゴールドメダルを授与するかご存知かね?」
「いいえ?なぜですの?」
「金の元素記号だよ。AU」


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