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1998/01/30
Weekend Theater ID:81

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知、金曜ホラー劇場。
お楽しみください。

ハードボイルドOL
伊集院 涼子シリーズ

第32回
「親切」

涼子の会社の最先端技術研究所は、
施設や行われている研究もさる事ながら、
その図書館は蔵書の質、量共に世界でも有数だった。
久しぶりに涼子の会社を訪れたサー・オッペンハイマーは、
その図書館に是非行きたいと申し出た。
社長が二つ返事でOKしたまでは良かったが、
興に乗ったサーがそこで夜通すと言い出し涼子を困らせた。
何しろ図書室は、会社の機密事項があふれている
研究室で囲まれていた。そこは夜間、
セキュリティの為外界から遮断されてしまう。
だが、サーは言い出したら聞かなかった。
「サー、そこは朝まで外との連絡方法が警備室が設定する夜間直通
電話だけになります。しかもその電話をどこの電話機に
設定するか、事前には決めないんです。ですから連絡を取りたい
時は、警備室にどの電話機か問い合わせてください。」

翌朝、涼子が迎えにいった時、
紳士物の靴と、アルミの大きなケトルを前に
サーは頬づえをついていた。
彼は涼子を見て、溜め息まじりに言った。
「ああ、涼子。私の日本語は何語に聞こえるのだろう。
何度も電話機の場所を聞いたつもりなのに、
警備員はこれを指差して何か言うんだ・・・。
たぶんこれらの使い道を説明してくれているのだろうが・・・。」
昨日当直の警備員、英語は喋れないが親切だったらしい。
「サー、なんて聞いたんですか?」
「ヤカン チョ クツー オシエテクダサイ。」





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